いつもパワーをもらえる「渋谷」にある、上京したころを思い出す大切な場所。
奈良出身の三戸なつめさんが東京に来たのは10年前のこと。「雑誌やテレビで見たり、マンガの舞台になっていたり、昔から憧れていました」と話すように、渋谷には深い思い入れがあります。上京した頃、足繁く通った忘れられないスポットを案内してもらいました。
――渋谷に初めて行った時のことは覚えていますか?
三戸 高校生の時に行った家族旅行ですね。「渋谷と原宿に行こう!」って私が提案した覚えがあります。たくさんの行き交う人を見て、みんなキラキラしていて、充実しているんだろうなって思いながら見ていました。奈良から上京するまでは年に一回のペースで遊びに行ってましたね。テーマパークに行って、渋谷と原宿でお買い物するのが定番でした。
――上京するきっかけは何だったんですか?
三戸 いまの事務所への所属が決まったことです。当時、レギュラーで出させていただいていた大阪の雑誌といまの事務所が合同でイベントを開催していて、私のことを知ってくれていて、声をかけてもらったんです。
上京してからは、旅行の時とは違い、渋谷にいる人たちを自分と同じ目線で見るようになったのですが、みんな歩くのが速くて入り乱れてるから、「まっすぐ歩かれへん!」って焦りました(笑)。
あとは、ファッションのこと。渋谷にいる人たちは、みんな思い思いの格好をしているイメージでした。私も服を自由に着ていたので、好きな格好をしていいんだ、ってワクワクしましたし、居心地の良さを感じました。そのせいなのか、あまりホームシックにならなかったですし、この感覚は今でも変わりませんね。
――上京当時から通っているショップはありますか?
三戸 〈the Virgin Mary〉というヴィンテージショップです。
歩いていた時にたまたま見つけてふらっと入ったんです。店内はパステルカラーでまとまっていてガーリーなアイテムが多いんですが、所々エッジも利いていて。小さい頃、“戦うお姫様”がカッコいいと思っていたので、憧れが詰まっていてすぐに心を掴まれました!
雑誌を中心に活動していたころ、衣装を借りて気に入ったアイテムはそのまま買い取っていました。クリーム色のモヘア素材ニットや、レトロでゴツめのスニーカーはヘビロテしていましたね。
大人っぽいスタイルが好きな時期、可愛くなりたい時期…と好きなテイストが結構変わるのですが、いまは可愛くなりたい時期になると〈the Virgin Mary〉に来ます。
――他にはどのようなお店に行っていましたか?
三戸 私がカフェ好きということで、友達が連れて行ってくれたのが〈MOGA cafe〉。
学生の頃、ハンバーグが大好きだったんですよ(笑)。ファミレスでチーズインハンバーグを注文して、友達とドリンクバーを飲みながらいろんな話をして。なので、ハンバーグって、家でお母さんが作ってくれるもののほかに、ファミレスで食べるもの、って思っていたんです。
ここで初めてハンバーグを食べた時、ふわっとしているのに肉々しくて、「ハンバーグってこんなに高級な味なんだ!」って衝撃をうけて、ハマりました! 私、一度ハマるとずっとその料理を食べたり、お店に行ったりするので、当時めっちゃ来ていましたね…週1回は来ていたんじゃないかな。特に、朝から晩までの撮影など、ハイカロリーな仕事の後には必ず来て、消費した分をしっかり補充して(笑)。撮影中から〈MOGA cafe〉に来るのを楽しみに頑張っていたくらい!
MOGA café(モガカフェ)
住所:東京都渋谷区宇田川町4-9 くれたけビル2F
電話番号:03-3464-6090
営業時間:11:30~23:00(フード22:15 LO、ドリンク22:30 LO)
三戸 もう閉店してしまったんですが、〈astral lamp〉というカフェにもよく通っていました。〈MOGA cafe〉でお腹いっぱいになったら、〈astral lamp〉でお茶するっていうのが定番コース。ロイヤルミルクティーとオレオクッキーのレアチーズケーキを必ず頼んでいましたね。
友達とただひたすら喋っていただけなんですが、夜は12時まで開いてたのでギリギリまでお邪魔していました。長い時だと4時間くらい居たかも。
若干テイストの違う家具を上手にまとめて置いている、レトロかわいいくて落ち着ける空間でした。初めて行った時、おしゃれなカフェすぎてすごくテンション上がりました(笑)。
夜のカフェって薄暗いじゃないですか? 当時、大人な場所に来たなあと感じるのに、一方で友達と普段と変わりない話をしている…っていうシチュエーションが、自分にとってすごく心地良かったのかもしれないですね。 カフェは今でも変わらず好きで、ちょうど昨日、渋谷ヒカリエの〈CAFÉ AUX BACCHANALES〉に行きました。遅くまで開いているカフェを探していたら偶然見つけて、ステーキをがっつり食べて満足しましたね(笑)。
――あとひとつ、渋谷の思い出のスポットがあるそうですね。
三戸 はい、JR渋谷駅西口からの歩道橋です。上京したての時、渋谷にいる人たち全員が、“私とは違う、すごい人”に思えて縮こまっていたんですよ。奈良出身っていうのもあるかもしれないのですが、東京って冷たいイメージがあって、怖い人たちばっかりなのかなとか。
でも、この歩道橋から行き交う人を眺めていると、どの人もみんな同じ人間だし、私も含めてそれぞれの生活があって、こうして渋谷に居るのもなにか用があるから集まっているだけなんだ、って思えるようになったんです。
――どんどん渋谷の街は変わっていってますが、上京当時から変わらないと感じるところはありますか?
三戸 いつ来てもパワーがみなぎってますね! たぶん、いろんな人が集まっているから、“気”みたいなのがあるんだと思います。
奈良に帰省すると安心感があって良い意味でだらーんって無気力になるんですが、渋谷に行くとびしびし動いて、がしがし歩けるんです(笑)。たまに “気”に負けちゃいそうになるけど、「よし!闘うぞ」って気合が入るというか、活力がもらえる街なのはいつまでも変わらないですね。
三戸なつめ
俳優・モデル・タレント
2015年に中田ヤスタカプロデュース『前髪切りすぎた』でアーティストデビュー。その後、2018年からは本格的に俳優としても活動を開始。2020年にNHK連続テレビ小説『おちょやん』、2022年にドラマ『ユーチューバーに娘はやらん!』、2022年9月9日に公開された映画『LOVE LIFE』にも出演。10月より上演の舞台タクフェス第10弾『ぴえろ』へ出演するなど、数多くの映画、ドラマ、舞台に出演。幅広いジャンルで活躍している。
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*取材は、撮影時以外はすべてマスク着用にて行われました。
photo:Kenji Nakata text:Yuko Watari