――そもそも、カレーのどこにそこまでの魅力を感じるんでしょう?
もともと、好きなことができるとものすごくのめり込むくせに、飽きっぽい性格なんです。カレーって、ひとつのものを追求する楽しみと同時に、使う具材やスパイスによってバリエーションも楽しめる、自分にぴったりな食べ物なんですよね。あとね、僕、食べながら他のことを考えたいんですよ。もちろんフレンチとか和食のように、ダシや食材ひとつひとつの味わいを堪能するときもありますが、それを日常的にするほど食に集中力やエネルギーを費やすタイプでもなくて。だから、美味しいなと思って食べながら別のことも考えられるカレーは最適なんです。
――たとえばショッピングモールのようなところに行ったときも、食事といえばカレーを選んでしまうんですか?
そうですね。たとえばフードコートみたいなところに行ったら、まずカレーは必須ですね。ピザ、ラーメン、そしてカレー…っていうルートを辿ることもあります。
――えっ。1回に何食も食べるんですか?
はい。たまに一食でバーンと食べたりします。その代わり、1日に1回しか食事を摂らなかったりしますが。一番食べていた頃は、歌舞伎座に出ている時に、近くの〈歌舞伎そば〉で蕎麦を食べて、そのちかくの〈はしご〉っていうラーメン屋さんに行って、その後に〈ナイルレストラン〉でカレーを食べたりしてました。当時のお役のためでもありましたが、そんなことしてたら10日間で8キロ太れました(笑)。今は調整して、ある程度食べたいものを適度な量食べるようにしています。最近のテーマは「足るを知る」です(笑)。
――今回、Kitchen MARCHさんの「ビスクと欧風のあいがけカレー」を召し上がっていただきましたが、いかがでした?
欧風カレーは安心して食べられる間違いのない味ですが、印象に残るという意味では、海老のビスクカレーが好きですね。エビのカレーって結構ありますが、これは〝どエビ〟って感じがしてよかったです。今回はあいがけですが、この組み合わせを楽しめるっていうのもカレーの醍醐味だと思っています。ベースのカレーに、他のものをちょい足しして変化を楽しんだり。あるものとあるものが組み合わさって、新しいものが生まれるっていうのが本質的に好きなんでしょうね。結びつけるわけじゃないですけど、歌舞伎も…演劇表現というものもそうだと思います。
――右近さんのカレーに対するこだわりはありますか?
あんまりないんです。カレーはなんでもありなんで。ただ、ひとつだけ言うなら、ご飯は硬めの方がいいですね。どんなにルーが美味しいお店でも、ご飯がべちゃっとしていたら、さすがにダメだろうと思っています。
――カレー好きが高じて、ご自身でレトルトカレーも作ってしまったとか。
自主公演で販売しているんですが、毎回、自分が食べたい、自分が美味しいと思うもので、みんなが食べやすいもの、というのを基準にしています。今回は、とくに評判がよかったですね。値段以外は(笑)。もともと、チェッターヒンというミャンマーのカレーが好きだったんですが、ミャンマーカレー研究家である保芦ヒロスケさんという方と知り合うことができ、コラボをお願いして作らせていただきました。寺島しのぶさんに差し上げたら、すごく気に入ってくださって、追加で購入してくださったらしいです。僕は食べる一方で希望を伝えただけですから、すべてはプロデューサーの保芦さんの実力のなせる技ですが。
【退店済み】Kitchen MARCH(キッチンマーチ)
尾上さん衣装:ネックレス¥36,300(PLUIE/PLUIE Tokyo ☏03-6450-5777)その他はスタイリスト私物
J-CULTURE FEST presents 井筒装束シリーズ詩楽劇『八雲立つ』
日本の誕生の神話・スサノオ(尾上右近)とイワナガヒメ(水夏希)の交わりを描く詩楽劇。本物の装束を着用するほか、ヴァイオリン、和楽器、石見神楽の舞とのコラボレーションなど多彩なジャンルとの融合も見どころ。
構成・演出:尾上菊之丞
脚本:戸部和久
出演:尾上右近 水 夏希 川井郁子 吉井盛悟 石見神楽(MASUDAカグラボ)
尾上菊之丞
日時:2022年12月30日(金)~2023年1月1日(日)
場所:東京国際フォーラム ホールB7
photo : Kenta Aminaka stylist : Kazuya Mishima(tatanca) hair & make : Yoshito Shiraishi(ima.) text : Lisa Mochizuki
後編は12月12日(月)公開予定です。お楽しみに!
*2022年11月現在の情報です。内容など変更になる場合がございます。
*営業時間については、渋谷ヒカリエホームページでご確認ください。
*価格はすべて税込み表記です。